美術品売買における智見
アートラボが美術品売買において最も注力することは、美術品売買にあたっての裏付けとなる、自身の確かな智見です。アートラボは、自らが高度な専門性を有してこそ、事業に信頼が生まれると考え、学域の向上に努めています。それは美術品売買のみならず、どのような事業展開であっても例外はなく、それこそがあらゆる事業を高度な領域で展開できるための唯一の道標と考えています。企業でありながら、収益性と直接の関係性が薄い美術研究をも独立的な主眼としているのはそのためです。
ゆえに、アートラボは、狭義には古物商・美術商社でありながら、殊にアートの領域における学際性については、どの画廊、企業体にも優らねばなりません。そのためには学術性をどこまでも高めねばならず、その意味では、美術イベント会社、美術出版社・新聞社などの業種とは、一線を画しています。美術における専門性をプライオリティとして自らも外に示し続けられること。探求を学術領域まで追い求め、企業体を越えた、あらゆるアートのLaboratoryでありつづけること。それがアートラボの理念であり真の存在意義です。


アートマーケットへの調和と挑戦 ―― 動と継続
美術品の売買を行うにあたって最短の道は、ギャラリーの経営です。しかし、それは手段であり、目的を果たすこととはなりません。アートマーケットへの最もダイレクトなアクセス展開と目的遂行は、単独の活動ではなく、自らの専門性に加え、そのバックボーンを前提とした他のスペシャリストとの対等なパートナーシップにも基づかねば、決して高レベルでは成し遂げられません。さらに、その到達にあたっては、ダイナミックな動と継続(Moving without interruption)こそが必須事項であると考えています。
動において、アートラボは、美術商社として国内外のパートナーとプロジェクトごとに直接・間接的にグループ化、形式的には部門化することも辞さずコネクトし、フレキシブルにアートマーケットでの展開を計り、世界各国との取引機会を求めます。継続においては、動と一体のものであることを前提として、国境を越えた戦略テリトリーのなかで、高々度なパートナーシップが築けるギャラリーやオークション会社(文化事業においては美術館、博物館など)と、プロジェクトごとに連携を深めながら、中長期的な視点に立ち、継続的に同事業を展開し、その活動領域を派生的に広げています。


新時代、世界を子午線からとらえ、アジアのハブから世界へ
現在の事業展開において、アートラボは日本を軸に世界を子午線でとらえています。すなわち東西ではなく南北への視座です。これまでの美術品売買において多くの企業は世界の東西、すなわち欧米を視野にとらえつづけていましたが、今後のアートマーケット事業拡充のために、アートラボは子午線の観点でアジア圏をより重視しています。その具体的エリアは、ユーラシア大陸の東岸域、ロシア、北〜東南アジア、さらにその領域を南に拡大し、オセアニアまでと、南北の極を子午線でほぼ縦断する範囲となります。欧米が成熟を迎え、はては衰退の危機さえもある現在、これらエリアは政治、経済、文化、あらゆる領域での新たな世界のリーダーのバトンを受ける、最有力候補と目されています。
ローマ帝国、欧州、北米と人類の歴史は西方へ、その中心が移動してきました。まさにシルクロードとは逆行するように、実は世界の覇権は西へ西へと移動してきました。そしていまそれは、地球を周回するように太平洋を越え、ついに東からユーラシア大陸東岸到達の時代を迎えようとしています。こうした時代におけるアートラボのオペレーションは、北はロシアから南はシンガポール、ベトナム周縁までの南北ラインを縦のベルト域(Vertical Belt)ととらえ、そこを第一の基軸とし、南北へより広くアクセスを求めながら、各国文化との調和を計り、いわばジグザグに移動するイメージでシルクロードを逆にとらえた上で、卯酉線、すなわち洋の東西を見据えます。こうして時宜に応じ国境を越え最もホットなエリアをターゲットとし、そこで具体的実施を強く計るため、縦ベルト域のコアとして、東アジアの沿岸中心部、上海、香港、マカオをさらなる最重要事業実施拠点としています。かねてより国際都市としての機能を有したこれらエリアを、大陸と陸続きのユーラシア大陸東岸における最重要コア、新時代の世界への最大ハブと位置づけ、東京を戦略拠点、長崎を研究拠点、これらエリアを実施拠点とすることで、美術品売買事業はもとより、文化交流としての各美術施設との研究会や美術学会参加なども含めた広範囲な活動を展開し、アートマーケットへ挑戦する確かな基盤構築に努めています。